子どもたちの算数の勉強を見ていて、「この子はこれからもっと伸びそうだ」とか「この先伸び悩むかも」と思わされることはよくあります。
「この子は、きっとこれから大きく伸びる!」
「もしかしたら、この先伸び悩んでしまうかもしれない…」
真面目にコツコツ努力を重ねているのに、なかなか成績に結びつかないお子さんもいれば、一見するとマイペースなのに、着実に力をつけていくお子さんもいます。
一体、何が違うのでしょうか?一生懸命頑張っているのに、なぜ成績が伸び悩んでしまうのでしょうか?それを考えるヒントになるのが、算数における「守破離」の考え方です。
では、算数を勉強するうえで知っておきたい「守破離」とは、一体どういうことでしょう?
今、お子様の算数の学習に不安を感じているのであれば、ぜひこの先を読み進めてください。
お子様の本来持っている力を十分に引き出し、合格へと導くためのヒントが、きっと見つかるはずです。

中学受験の算数力開花に不可欠な「守・破・離」
武道や茶道などの伝統芸能で大切にされる「守破離」の考え方は、中学受験の算数で高得点を獲得していくための学習プロセスと驚くほど共通点が多いのです。
【守】~徹底的に「型」を身につける基礎固めの段階
算数における「守」とは、「解き方の基本」や「解法のパターン」を徹底的に習得する段階です。
- 計算のルールや効率的な計算方法を確実に身につける。
- 基本的な問題に対して、教科書や塾で教わった考え方をしっかりと理解し、使えるようにする。
- 頻出する解法テクニックを、一つひとつ丁寧に自分のものにしていく。
これは、まさに塾のテキストを繰り返し解き、基礎的な問題を確実に正解できるようにする段階と言えるでしょう。この段階をしっかりとクリアするだけでも、中堅レベルの中学校であれば合格点を狙うことは十分に可能です。
しかし、難関校突破を目指すのであれば、「守」だけでは壁にぶつかってしまいます。次の段階「破」へと進む必要があるのです。
【破】~「型」を自分のものにし、応用力を磨く飛躍の段階
「破」とは、「守」で身につけた「型」を土台として、様々な問題に挑戦する中で、自分にとってより効果的な解き方や考え方を模索し、既存の「型」を自分のものにしていく段階です。
- 塾のテストで安定して高得点を獲得し、上位クラスに食い込む。
- 教えられた「型」を組み合わせたり、問題に合わせてアレンジしたりすることで、得点力を高める。
- 様々な問題に触れる中で、問題の本質を見抜き、どの「型」が有効なのか、あるいは通用しないのかを見極める力を養う。
- 問題の中に隠された「型」に気づく洞察力を磨く。
この段階では、インプットした知識を、アウトプットを通して自由自在に使いこなせるようになることが重要です。単元ごとの基礎が固まったと感じたら、積極的に応用問題に取り組み、「なぜそうなるのか?」を深く考える習慣をつけましょう。
この「破」の段階を着実に進めることができれば、最難関中学校の合格も決して夢ではありません。
【離】~「型」から解放され、最高レベルへ到達する段階
「離」とは、「守」で徹底的に学び、「破」で自分のものにした数々の「型」から解放され、問題の本質を捉え、柔軟な発想でこれまで見たこともないような解決策を生み出す段階です。
最難関中学校の入試問題の多くは、見たことのない問題ばかりです。
教えられた「型」通りに解ける問題はほとんどありません。
このような問題に対し、既存の「型」に固執していては、解決の糸口がまったく見つからないことも少なくありません。
だからこそ、「離」の段階では、一旦「型」のことは忘れ、問題文の一言一句を丁寧に読み解き、条件を整理し直すことが重要になります。
そうするうちに、隠されていた「型」が姿を現したり、さらにはその奥にある本質に気づいたりすることがあります。
そして初めて、「問われていること」が明確になり、「型」が解決への道筋を示し、確実な正答へと導いてくれるのです。
受験生には、ぜひこの「離」の段階まで到達してほしいと願っています。このレベルに達することができれば、最難関中学校の算数入試問題など、もはや恐れる必要はありません。

わが子の「守・破・離」達成度を見極める親の視点
お子様が今、「守・破・離」のどの段階にいるのかを把握することは、効果的な学習サポートを行う上で非常に重要です。
【「守」段階で足踏みしていませんか?】
いつまでも基本問題ばかり繰り返し、応用問題に全く手をつけようとしない。
そうお感じなら、それは「型」を身につけることに満足してしまい、「破」の段階に進めていない可能性があります。
【「破」段階で伸び悩んでいませんか?】
応用問題に取り組んではいるものの、解き方がパターン化してしまい、見慣れない問題が出ると手が止まってしまう。
この場合は、「型」を自分のものにできていない、あるいは柔軟な応用力が不足していると考えられます。
【親としてできること】
お子様が「型」にこだわりすぎているようであれば、「もっと自由に考えてみよう」「色々な方法を試してみよう」と声をかけましょう。
その場合、答えをすぐに教えるのではなく、自分で考え、試行錯誤する過程を大切にしてください。
また、図やグラフを描いて整理したり、条件を書き出してみたりする中で、新たな発見があることを促すのも有効です。
これらが、「離」に進んでいくための大切なステップになります。
最後に
中学受験の算数における「守破離」は、一朝一夕に達成できるものではありません。お子様一人ひとりのペースに合わせて、 段階を踏んで成長していくものです。
焦らず、じっくりと、お子様の頑張りを見守り、それぞれの段階に応じた適切なサポートをしていくことが、親御様の最も重要な役割と言えるでしょう。
私たち究学は、お子様一人ひとりの個性と潜在能力を最大限に引き出し、志望校合格へと導くための効果的な学習指導を行っています。もし、お子様の算数の学習について、少しでも不安やお悩みを感じているようでしたら、お気軽にご相談ください。 専門的な視点から、解決策をご提案させていただきます。