「うちの子、文章問題になると途端に手が止まってしまう…」
「書いてある数字を適当に組み合わせて答えを求めようとしている…」

よく保護者の方からそんな声が聞こえてきます。

「公式を覚えて、数字を当てはめて、はい、できた!って、答えが違うんだけど…」

そうなんです。こうやって、算数ができなくなる子の多いこと。
算数で伸びる子は、公式を暗記したり、解法パターンを覚えたりするのが得意な子、というわけではありません。

算数で力を伸ばす子の特徴

算数で力を伸ばす子は、文章を通して、問題の状況を正しく理解し、筋道を立てて考える力を持っています。
つまり「考え方の土台」がしっかりと築けているのです。そして、そんな子こそが、算数・数学を深く理解し、応用力を発揮できるのです。

「数の問題」「図形」と並んで、算数の重要な柱である「文章問題」。
中学受験の問題では、様々な要素が複雑に絡み合って出題されます。
だからこそ、低学年のうちに文章問題に対する確かな土台を築くこと。それが、その後の算数学習の成否を大きく左右すると言っても過言ではないのです。

なぜ文章問題が「考え方の土台」として重要なのか?

塾に通わせているのに、なかなか文章問題ができるようにならない…。
その原因は、もしかしたら「文章問題を解くための土台」が十分に築かれていないからかもしれません。
土台が脆弱なままでは、いくらテクニックを詰め込んでも、問題の本質を理解することができません。そして、表面的な理解に留まってしまうのです。

文章問題に対するしっかりとした考え方の土台。これができていれば、複雑な問題に対しても臆することなく立ち向かえます。自力で解決する力を身につけることができます。
これは、中学受験はもちろん、高校・大学受験における数学の学習でも、大きなアドバンテージです。

今回は、この「文章問題」を攻略するための土台作りについて、具体的な方法をお伝えしていきます。

算数の問題は「文章」でできている

少し考えてみてください。

単純な計算問題を除けば、算数の問題はすべて文章で問いかけられています。
そして、その文章の中には、問題を解くための様々な「条件」が設定されています。

子どもたちは、与えられた問題文からこれらの条件を正確に読み取り、それらを整理し、全ての条件を満たす答えを見つけ出す必要があるのです。

つるかめ算や過不足算といった特殊な文章題はもちろんです。
しかし、足し算、引き算、掛け算、割り算といった基本的な計算を使う問題でさえ、子どもたちにとっては乗り越えるべき壁となるのです。
文章に隠された「条件」を読み解き、文章に書かれた条件に「気づく」こと、これが文章題に取り組むための第一歩なのです。

条件に気づき、頭の中で「見える化」する

たとえば、同じ引き算を使う問題でも、その問われ方は様々です。

  • 太郎と花子の持っている個数の違いを求めなさい。(2つの「別のもの」を比べる
  • 太郎が〇個食べると残りは何個ですか。〇個残ったとき、食べたのは何個ですか。(1つのものの増減を比べる
  • 昨日の最高気温は19度で、今日は23度です。何度上がりましたか。(「増えている」のに引き算を使う

大人にとっては「どれも引き算でしょ!」と簡単に分かります。ですが、特に小学校低学年の子どもたちにとっては、そう簡単なことではありません。

そこで重要になるのが、問題の設定を頭の中で「見える化」することです。文章を読んだときに、具体的なイメージを思い描くことが求められます。

➤例えば、りんごの個数を比べる問題では、実際にりんごの絵をそれぞれの個数分描いてみる。
➤温度の変化の問題であれば、温度計を2つ並べて、目盛りの変化を視覚的に捉えてみる。

このように、イメージしやすいものを入り口にして、「引き算をする場面」「増えているのに引き算をする場面」などを具体的に想像します。必要であれば紙に書き起こしてみます。
そして、その絵や図を見ながら考える。そんな「再現力」「イメージ力」こそが、この先複雑な問題を解いていく上で、大きな助けとなるのです。

これは引き算に限った話ではありません。
掛け算や割り算といった他の計算でも、同様に状況をイメージする力は不可欠です。大人が安易に「これは〇算だよ」と教えてしまうと、子どものイメージする力はそこでストップします。決して、本質的な理解には繋がりません。

立式よりも大切な「状況把握」と「イメージ」

大人はつい「式を立てること」が重要だと考えがちです。中学校や高校の数学では、答えが合っていても式が書かれていなければ不正解となることもありますから、そう考えるのは当然かもしれません。

しかし、小学校の算数、特に低学年のうちは、必ずしも立式にこだわる必要はありません。

例えば、「私が朝家を出たときにみかんは10個ありました。その日学校から帰るとみかんは7個になっていました。何個減りましたか。」という問題。
これに対して、「10 – 7 = 3。だから3個減った」と答えるのはもちろん正解です。

ですが、もしお子さんが次のように考えたとしたらどうでしょうか。

「7個から1つ増えたら8個、もう1つ増えたら9個、さらに1つ増えたら10個になる。だから、1個、2個、3個と3回増えたんだ。減ったのは3個だ!」

これは、一見すると回りくどい考え方かもしれません。しかし、何もヒントを与えずにこの考えにたどり着いたのであれば、満点をあげたいと思いませんか?

なぜなら、その子は問題の「状況を正確に把握」しています。そして「場面を生き生きとイメージして」問題に取り組んでいるのです。

式を作ることは、あくまで問題を解くための手段の一つに過ぎません。
本当に大切なのは、状況を理解し、頭の中でイメージし、正しい答えを導き出すというプロセスなのです。この経験こそが、将来的な算数力の伸びに繋がっていくのです。

条件設定 → 状況把握 → 場面を生き生きとイメージする

文章題に取り組む際は、この流れを意識することが大切です。

「考える」を「作業」に分解する

算数の文章問題を解く際、親御さんはつい「問題をよく読んで考えなさい」と声をかけてしまいがちです。
しかし、子どもにとって「考える」という指示は抽象的すぎるのです。
何をすれば良いか分からず、戸惑ってしまう。そして、鉛筆を持ったまま手が止まり、思考もストップしてしまう、というのはよくある光景です。

そこで、算数の文章問題で求められる「考える」ということを、次のように具体的に捉え直してみましょう。

“考える”とは「与えられた条件に合う事柄を見つけ、それがほかの条件を満たしているかどうか一つ一つ精査して、すべての条件を満たす事柄を見つけ出す作業」である。

このように考えると、「考える」ことは具体的な「作業」に置き換わります。必要な作業は以下の通りです。

  • 問題に書かれていることから条件を探し出す(列挙する)。
  • 条件に合う候補を探す。
  • その候補がすべての条件を満たしているか確認する
  • 条件に合わないものを省いていく

手順はこうです。
1 問題に書かれた一つの条件に合うものを書き出す
2 それらの候補がほかの条件に合うかどうかを調べたり、合うものと合わないものを分類したりする
簡単な作業から始めることで、徐々に「考える」ことができるようになっていきます。

低学年の文章題は「あてはめて解く」ことから

このように考えると、小学校の、特に低学年の文章題は、「条件に当てはまる数値を求める」問題だと捉えることができます。

塾では、線分図の描き方など、効率的な解法を教えることが多いでしょう。
しかし、低学年の間は、そういった「最適な解き方」に固執する必要は全くありません。
むしろ、自由に発想し、色々な数値を当てはめてみて、それが問題の条件に合うかどうかを試行錯誤する過程こそが重要なのです。

実際に数値を当てはめて確認する作業は、条件を理解する力や、数値同士の関係を把握する力を養います。これらの力こそが、文章題を解くための強固な基盤となるのです。

うまい解き方をすぐに教えることは、目先の問題を解くためには効率が良いかもしれません。
しかし、それでは文章題の本質を見抜く力は育ちません。
文章題は、いわば「数あてクイズ」のようなもの。まずは、「あてはめてみる」ことから始めましょう。これが、文章題を解くための本当の第一歩なのです。

テクニックだけを身につけた子は、少し問題の形式が変わると対応できなくなってしまうことがあります。
しかし、自分の頭で考え、試行錯誤する経験を積み重ねた子には、表面的なテクニックだけでは得られない、本質的な理解力と応用力が備わります。

それこそが、中学受験の難問や、さらにその先の数学の学習において、大きな武器となるのです。

今すぐ「あたりまえ」の策を実践してみませんか?

「そうか!これこそ、子どもが算数に強くなるために本当に必要なことだったんだ!」

もしそう感じていただけたなら、ぜひ今日から、お子さんと一緒にこれらの「あたりまえ」の策を実践してみてください。

この方法を続けることで、お子さんは文章題に対する苦手意識を克服し、確かな読解力と論理的な思考力を育むことができるでしょう。それは、中学受験だけでなく、その先の高校・大学受験においても、大きな財産となるはずです。

「究学」は、このような確かな土台作りを重視した教育を提供しています。「算数ができる子になりたい」「志望校合格を目指したい!」という方は、ぜひ一度体験してみてください。きっと、お子さんの未来が変わるきっかけになるはずです。

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